2014年10月5日日曜日

汚れた霊から身を守る

[ルカ]111426
[讃美歌]200,402,476,77、
[交読文]96:1~9、

 

先ほどお読みいただいたのは、小見出しにある通り『ベルゼブル論争』と呼ばれています。悪霊を追い出して、口の利けなかった人が、利けるようになった、という癒しの奇跡物語です。ここで人々は、この人が話せるようになったことを、問題なく認めています。問題にしているのは、あの男イエスが、誰の、何の力によってそれをなしたのか、ということでした。多くの人々は驚嘆したようです。イエスの力を認めたくない人々がいました。イエスとは、秤の反対側に乗っているように感じている人々です。おそらくユダヤの律法に熱心なファリサイ派の人々でしょう。イエスを攻撃し、傷つけることで、自分たちの権威を守ることが出来る、高めることが出来ると考えています。彼らは、イエスが悪霊の頭ベルゼブルの力で悪霊を追い出している、と攻撃しています。

 

イエスの反論は、内輪もめ、仲間割れ、内部抗争、分裂ということに尽きます。

そのようなことが起きれば、何処の家でも、国でも、家庭でも、個人でも成り立ちはしないことを誰もが知っています。内部から崩壊してしまいます。悪霊払いは、ユダヤ人にはなじみのこと。

イエスの業は、神の指によるものです。それは、神の国が、今ここに来ていることの徴であり、御国の顕れです。

 

聖書では、「霊」という言葉がよく出てきます。ギリシャ語ではプニュウマ。

それに対して、『悪霊』には、ダイモニオーンが用いられます。

 古典ギリシャ語では神的存在、死んだ英雄の神格化されたもの、行伝1718

 旧約では異教神、偽りの神々。

 新約では悪鬼、悪霊、死者の霊、死霊。ルカ82638もダイモニオン、ダイモニア。

ルカでは、他に43382710171332などが同じ言葉です。

ルカ72182では、プニューマ ポネーロンが用いられます。汚れた、邪悪な、悪い。

ルカ1124、汚れた霊、これは、アカサルトン プニューマ。

 

汚れた霊、悪霊は、この世にあって、この世を支配しようとする悪しき諸力です。サタンと呼ばれることもあります。

ヨブ記によれば、悪霊、悪魔は、神のみ使いであり、その支配下にある、とされます。従って、これら悪の力は御子イエスを知り、彼を避けようとします。

 

102日(木)朝9時、隣の部屋で電話が鳴る。・・・日本基督教団の教会でしょうか、

綺麗な女の人の声。聞いたことがない。大新聞の名とご自分の名を示す。

「牧師で、もちだという方がいらっしゃるでしょうか。」

はて、おかしいぞ。続いて、かつて在職していた教会の名前をあげ、よく知る役員の名前を出す。ハテさて、用心用心、プライバシイの問題があるぞ。情報を与えるよりもいただくようにしましょう。

Kさんが死んでいる姿で発見された。複数の刺し傷があり、警察が殺人事件として調べている。この人に関して教えて欲しい。」

「知的で、活発で、優しい人、お世話好きで、忠実な信仰者、教会学校教師、教会の役員も務めた。花を愛し、短歌を作り歌集を編集。人の怨みをかうような人ではありません。」

 

その後、複数のテレビ局の記者からも。ネットで確認することにしました。地名、人名は削除しました。

「1日午後、某所の民家で高齢の女性が倒れているのが見つかり、午後5時半ごろ、搬送先の病院で死亡が確認された。腹部には刺されたような傷が数カ所あり、警察本部は殺人事件とみて捜査を始めた。

 署によると、住人のKさん(86)と連絡が取れなくなっており、身元を調べている。女性は1階の居間であおむけに倒れていた。家に鍵はかかっておらず、室内に物色された形跡はなかった。

 午後440分ごろ、男性の声で「高齢の女性が倒れている」と110番。通報後に立ち去ったとみられ、署が行方を捜している。

 現場は南海本線駅から北東約500メートルの住宅街。」(共同通信)

 

ある報道は『黒い天使が舞い降りた』と見出しを付けている。聞いたことがありそう。

ネットで検索してみると、人気コミックの題名でした。復讐を目的とする暗殺者達が、黒い天使。もっと古い小説のもじり、と感じます。記憶の底を探る。あった、あった、これに違いない。イギリスの小説、映画にもなっている。どちらも見ていない。

 

『鷲は舞い降りた』(わしはまいおりた、英: The eagle has landed)は、著名な英国人作家ジャック・ヒギンズ による冒険小説。邦語訳198010月。早川文庫、

第二次世界大戦中の英国東部、ノーフォークの一寒村を舞台に、英国 首相ウィンストン・チャーチルの拉致という特殊任務を受けた、歴戦の勇士シュタイナ中佐率いるナチス・ドイツ落下傘部隊の精鋭たち。その使命は、ここで週末を過ごす予定のチャーチル首相の誘拐だった! イギリス兵になりすました部隊員たちは着々と計画を進行させていく…使命達成に命を賭ける男たちを描く傑作冒険小説

同名の映画は、1976年のイギリス作品。ジョン・スター ジェス監督の遺作でもある。

ヒトラーの思いつきでチャーチル誘拐命令が出てから、計画立案、実行、失敗 までの物語。それぞれのキャラクタが作り込まれ、生き生きと描かれていて魅力的。

 

黒い天使も鷲も暗殺者たち、誘拐者たち・侵略者達を指しています。新聞の見出しとしては、あまり感心しません。特定のイメージが強すぎます。警鐘の意味があります。

私たちが、油断していると、容赦なく非道な力を振るうものがいるのです。

悪霊は、私たちが考えもしないような人の中に入り込み、支配し、暴力を揮いました。

私たちの周囲には神の恵みが満ちています。同様に悪霊も満ちています。私たちを支配し、他の人たちに悪い力を及ぼそうとしています。

 

「実際、邪悪な霊を追い出すことに余りに高い価値を置くべきではない、とイエスは言っている。邪悪なものを拭い去って、そのあと良いもので生活を満たすということをしないと、更に多くの邪悪が戻ってきて、最終的な状態が最初の状態よりも悪くなるのである。

空っぽな生活というの、空っぽな家のように、侵入者を招くのだ。」クラドック

悪事を働く者が、再犯を繰り返すことが多いのは、ここに理由があるのでしょう。

 

私たちの中から邪悪な者を追い出し、追い払うことに成功した、とします。その空いたスペースはどうなるのでしょうか。空っぽのままにしておくのでしょうか。それでは、せっかく追い出した邪悪さんに、ここに大きな空室があります。お友達をたくさん連れてきてください。歓迎しますよ、と言っているようなものです。

 

最も重大な危険は、防衛の意識の欠如なのであり、或いは傲慢さかもしれません。

ここは安全だ、大丈夫だという思い。自分は間違っていない、確実だ、学問研究の実績がある。自分には能力がある、と考える人が危険にさらされます。そのことに気付かないから、更に危険が増します。

確かに、私たちの周囲には、黒い天使が徘徊しているようです。身を守るためには、聖霊に入ってきていただくことです。満たされなければ、悪霊には対処できないでしょう。

 

イエスに対する反応の中には、好意的なものもありました(2728節)。すべての人にとって、神の言葉を聞いて、正しく理解し、それを行うことが祝福となります。

善きものを与えたまえ、聖霊を満たし給え、と祈り求めることが許されています。

 

主よ、御言葉の伝達者として、この僕を御霊によって満たしてください。